資料記号

maregaA8

標題

フォンド・マレガ ファイル A8

年代

1635年~1852年

主年代

江戸全期

年代注記

寛永12年(1635)~嘉永5年(1852)

記述レベル

ファイル

数量

440点(内訳は、カード76点、紙片14点、新聞(包紙)26点、包紙6点、紙縒1点、紐34点、封筒3点、状280点)

出所/作成

マリオ・マレガ。日本の古文書は臼杵藩宗門方を原出所とする。

履歴

フォンドと同様

地名

大分県臼杵市・大分市、東京都目黒区碑文谷

役職等

サレジオ会宣教師、臼杵藩宗門方

伝来

1953年にマリオ・マレガよりバチカンへ寄贈

入手源

フォンドと同様。

範囲と内容

A8は6つのかたまりに分けられる(A8.1~A8.6)。各かたまりは切手が貼られた郵便袋を開いた用紙や、印画紙の包紙などを再利用して文書類を包み、麻紐で括られていた。また、それぞれ収納される文書も新聞などでさらに包まれていた。包材として利用された新聞は、大阪毎日(英字)、豊州新聞、大分新聞、日本カトリック新聞、福岡日日新聞であり、最も古い日付は、昭和13年(1938)5月29日、下限は昭和17年(1942)1月4日である。また、郵便住所は大分市紺屋町天主公教会などとみえている。文書整理は大分時代に行われた可能性が高いといえる。

総点数440点のうちの臼杵藩宗門方を出所とする文書(「状」)の内容は以下の通りである。a.「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」(細部の字句が違うものも含む)269点、b.起請文2点、c.出生・死亡・縁付届7点、d.名前問い合わせ1点、e.人名書上1点である。

年代別では、a.「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」が、17世紀後期1点(貞享3年1点)、18世紀前期72点(元禄16年8点、宝永8年18点、享保6年6点、享保10年39点、元文2年1点)、18世紀後期5点(宝暦5年1点、安永2年2点、天明3年1点、寛政2年1点)、19世紀前期146点(享和2年1点、文化3年1点、文化10年2点、文政4年1点、文政9年21点、天保9年52点、天保10年18点、天保15年25点、弘化2年25点)、19世紀後期45点(嘉永5年45点)、b.起請文が、17世紀前期1点(寛永12年1点)、19世紀前期1点(天保11年1点)、c.出生・死亡・縁付届とd.名前問い合わせ、およびe.人名書上が併せて、17世紀後期1点(元禄2年1点)、18世紀前期6点(宝永3年1点、正徳2年2点、正徳4年1点、享保3年1点、享保12年1点、推定含む)、19世紀前期1点(弘化4年1点)、不明1点、であった。状280点のうち、最も古いもので寛永12年(1635)のものが1点存在するが、最も新しい嘉永5年(1852)のものを含めて19世紀のものが全体の約7割を占める。

内容としては、臼杵藩家中の各箇所で宗門改を実施したことを、藩の宗門方へ報告した文書(「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」)がほとんどである。基本的に、組や組織ごとに上役が確かに確認したことが付された形式が取られているが、藩重臣の場合はそうした上役の確認文言は存在しない。それはさらに、重臣1人の場合と重臣連名の場合の二通りがある。

2点ある起請文のうち、1点は寛永12年11月5日付の、藩士江端市兵衛によるもので、この年幕府が呼びかけた全国一斉改めの際に作成されたものと思われる。この文書ではキリシタンの表記として「貴理師旦」という字が当てられている。転びキリシタンに課された「南蛮誓詞」でなく、通常の起請文である。端裏書において、17世紀前期に同地域で排耶活動を展開した禅宗(臨済宗)僧侶として知られている、雪(せっ)窓(そう)が保証を与えている点が注目される。もう1点は天保11年4月付の、熊本藩領津奈木(つなぎ)手(て)永(なが)の大庄屋赤沢宇太郎によるもので、手永(熊本藩領内の行政区画)内の百姓ほか領民すべてが「切支丹」でない旨、誓約した起請文である。臼杵藩の資料が大半のマレガ・コレクションのなかに、このような熊本藩領の文書が混入されているのは、マレガが大分県地域以外のキリシタン関係資料も集めていた事実を示すものである。ただし、なぜここにこれが紛れていたのかはわからない。

A8の六つのまとまりのあり方とマレガ番号についての主な特徴は以下の通りである。A8.1は多くが弘化と嘉永期の「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」で、マレガ番号M942~M1000とB1~B8。A8.2は多くが宝永・享保・嘉永期の「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」で、マレガ番号653~709。A8.3は「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」が数通含まれているものの、起請文や覚書が存在する。マレガ番号はM205~M216と28-T。A8.4は多くが元禄から文政期までの「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」で、マレガ番号M803~M848。A8.5は多くが天保期の「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」で、マレガ番号M849~M900。A8.6は多くが天保期の「切支丹宗門御改ニ付御書物之事」で、マレガ番号M901~M941。マレガ番号の秩序からすれば本来、A8.4から始まって、A8.5、A8.6、A8.1、A8.2という順番に配列されていたものと思われる。ただし、A8.3だけが特殊である。理由は不明だが、他の文書群から紛れたものと推定される。

使用言語

おおよそ日本語280件、伊語10件、英語2件

記述日

2016/11/20

記述者

大橋幸泰

参照用画像