<データベースの構築>

本データベースは、バチカン図書館所蔵「マリオ・マレガ資料」1万4643レコードの資料情報・画像の公開を目的とします。

データベースは、人間文化研究機構とバチカン図書館との協定に基づき実施されたマレガ・プロジェクトの活動を通じて構築されました。基本データは、概要調査・資料修復・画像作成・保存袋ごとの概要記述・目録記述・構造分析などの諸活動を通じて生成された情報をもとにしたものであり、これらの活動では、人間文化研究機構による日本関連在外資料調査共同研究「バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書の保存・公開に関する調査・研究」(代表大友一雄、2013~15年度)、同「バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書調査研究・保存・活用」(代表大友一雄・太田尚宏、2016~21年度)を軸に、東京大学史料編纂所特定共同研究「『豊後切支丹史料』及びその原丈書調査研究」(代表松井洋子、2014~15年度)および同「ヴァチカン図書館所蔵マリオ・マレガ氏蒐集史料の総合的研究」(代表同上、2016~18年度)、科学研究費基盤研究(A)(海外学術調査)「バチカン図書館所蔵豊後切支丹資料の国際的情報資源化に関する海外学術調査研究」(代表大友一雄)(2016~20年度)、同基盤研究(B)「近世日本のキリシタンと異文化交流」(代表大橋幸泰)(2017~20年度)、同基盤研究(C)「20世紀の日本・イタリア・バチカンにおける民間所在資料や地方公文書の管理」(代表湯上良)(2017~20年度)、トヨタ財団研究助成プログラム「被災アーカイブズの新たな保存技術発信へのアプローチ」(代表青木陸)(2016~17年度)などの共同研究、およびサレジオ大学、大分県教育庁(県立先哲史料館)、臼杵市、イタリア東方学研究所などと連携しました。

<資料利用上の注意>

  • 本データベースは、人間文化研究機構とバチカン図書館との協定に基づき作成されたものです。
  • 本デジタル画像の著作権・所有権などの諸権利は、バチカン図書館が有しており、画像の二次的利用においては、バチカン図書館への事前申請・承諾が必要となります。
  • 目録データに関する著作権などの権利は、バチカン図書館と人間文化研究機構がこれを有します。

    *バチカン図書館申請先:https://www.vaticanlibrary.va/en/information-for-readers/support-for-the-study.html

<資料情報記述について>

1. データベースの項目設定

  • おおむね次の通りである。資料群名称、資料群記号、資料群階層、調査階層、表題、和暦、西暦、差出、宛名、形態・法量、状態など、言語、集合情報、所蔵機関名称、資料番号、マレガ№、他の検索手段、画像有無、史料群概要情報リンク。

2. 資料情報の編成と検索手段

  • 本資料群は出所を異にする複数の資料群から構成されるため、資料情報の編成では、まず、資料箇々の出所を特定し、そのうえでそれらを出所の機能との関わりで配置し、構造化することを試みました。設定した項目「資料群階層」は、箇々の資料の構造的な位置を示すものであり、フォンドのもとに4つのサブフォンド(01.宗門方、02.諸資料、03.マレガ、04.その他)を設定し、それらのもとにすべての資料を配置しました。
  • バチカン図書館が保管してきた状態は、マレガによる資料管理の状態を一定度温存していたため、A1からA26のまとまりの状態を共有するために項目「調査階層/Survey levels」を設け、階層的なアプローチを実現できるものとしました。
    したがって、本データベースは、組織・機能的な編成と、調査時の資料状態を示す編成という2つの編成からのアプローチが可能です。また、これらとは別に簡易検索・詳細検索も用意しています。
  • 本データベースの情報記述は、フォンド、保存袋単位、アイテムの各レベルとしました。なお、フォンド、保存袋単位の記述については、本資料群のガイドブックとして作成した『バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ資料の概要と紹介』(大友一雄・三野行徳編、2022年3月)での記述を本データベースに反映させています。また、組織・機能的な編成の概要は、『バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ資料の総合的研究』(2022年)所収の大友一雄「バチカン図書館マリオ・マレガ資料群の全体構造」を参照願います。

3. 本データベースの資料情報記述

(1)全体的な基準

  • 用字は、原則として常用漢字を用いた。
  • 数字は、資料にあらわれるそのままの記載(原記載)を表示する場合や原記載を尊重したほうがよい場合をのぞき、原則としてアラビア数字とした。
  • 各記載において、注記的な事項は( )(丸括弧)で括って示した。
  • 資料の原記載の引用に際しては、「 」(鍵括弧)で括って示した。
  • 資料からの引用などで一部を省略する場合、「…」(省略)を一部用いて示した。
  • 欠損などにより原記載が判読できない場合、□(白抜四角)で示した。また、欠損部分の文字が推定できる場合、その文字を角括弧で括って示した。

(2)資料番号(請求番号)

  • 番号は、文書調査時のバチカンでの保存状態を重視して、A1からA26のまとまりを単位に親番号を与え、そのもとの小さなまとまりには子番号、孫番号などを与え文書個々を特定できるものとした。また、他の資料群との混同を避けるために冒頭にMaregaを置いた(例; MaregaA2.1.2)。なお、マレガ本人が資料管理のために付与した番号が数千点の資料に見られており、これらは別に項目を立て「マレガNo」として示した。

(3)表題

  • 表題は、原則として、資料に見られる表題・端作りを採用。内容を補記する場合は、( )のなかに記した。また、原表題がない場合は、内容などから推定した表題を( )のなかに記した。
  • 資料の原記載の一部を引用して、内容を示したものもある。

(4)年代(和暦・西暦)

  • 年代は、資料上の記載を尊重したが、基本的に数字のみ算用数字(アラビア数字)に統一した。
  • 資料内容から推定した場合、( )で括って記した。
  • 西暦はグレゴリー暦で示した。
  • 年代が不十分な資料では干支・月・日など、確認できる情報を記した。

(5)作成者および授受関係

  • 作成者名・差出名や宛先名(作成者名等)は、資料上の記載通りとし、原則として敬称もそのままとした。
  • 花押や押印、爪印、血判等の書証情報は、それぞれ(花押)(印)(爪印)(血判)のように括弧で括って記した。
  • 人数が多い場合、「外2名」などのように略記した。

(6)形態

  • 資料の形態は、近世期の資料では状、 竪帳、横帳、綴などと示し、近現代の資料では、新聞・はがき・メモなどの表記も用いた。また、包紙・袋・紐・封筒などの表記も用いた。
  • 法量(縦×横)を㎝単位で示した。

(7)集合情報

  • 資料のまとまり状況、相互関係を記した。たとえば、包紙(A1.4.4.1.0)では、「文書(A1.4.4.1.1)の包紙」というようにどの資料の包紙であるのかを示した。また、麻紐(A7.0.1)では、「A7を一括」と麻紐の利用を明確にした。その他、多様な資料相互の関係を可能な範囲で記した。

(8)複製・画像ファイル名

  • プロジェクトの活動を通じてマレガ資料全点のデジタル画像を作成した。画像ファイル名は、「Marega.A7.2_0036_fa_n.2.4.1.1v.jpg」などとあり、様々な情報が明示される。右の場合、資料番号は「Marega.A7.2.2.4.1」。「0036」は、A7.2の番号を与えられた資料群の撮影コマ数順を示している。faは資料の形状が「状」であること、Jpgの前の「1v」は、特定資料の丁数・枚数と表・裏の別を示す。「v」は裏面であることを、表面は「r」である。これらのデジタル画像名の付与は、基本的にバチカン図書館での付与基準に準拠した。記号の詳細は、『バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ資料の総合的研究』(2022年)所収の青木陸・太田尚宏・大友一雄「マレガ資料群の調査・保存と情報資源化」を参照されたい。

(9)史料群概要情報リンク

  • 本データベースの「フォンド」「保管袋単位」の記述へリンクするものとした。