古事類苑>歳時部十三>年始雜載>門松>名稱
第 1 巻 864 頁 画像表示

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門松
名稱
〔倭訓栞  前編六加〕
かどまつ 正月門ごとに松竹など立て祝ふを、門松と稱せり、門神の祀なるべし、徒然草に、大路に松立わたしと見えたり、全浙兵制、我邦正月の事に、以松柏門、乃取長春之好といへり、爲尹歌に、今朝はまた都の手ぶり引かへて千色の始め〈◯千色の始め、爲尹卿千首和歌作ちひろのみしめ、〉しづが門松、歳華紀麗に、元日松標高戸とも、董勛問禮に、繫松枝于戸とも、風俗記に、正旦楚人上松柏類ともいへり、其意近し、今福閩の間、正月門戸に松竹を飾り立るは、國姓爺より始るよし、西川氏の書に見えたり、禁中并に堂上には、門松をかざる事なし、諸家中に注連をひく事あり、

〔世諺問答〕
正月 問て云、一月よりしづが家ゐに、門の松とてたて侍るは、いつごろよりはじまれる事ぞや、 答、いつごろとは、たしかに申がたし、門の松たつる事は、むかしよりありきたれる事なるべし、しづが家居は、大かた封戸なるによつて民戸と申侍れど、むかしは一町のうちを五丈づヽにわりて、門をたてしかば、八の門ありしなり、その中に、賎が家ゐをつくり侍れば、門なかるべきにあらず、その門の前に松竹を立侍り、松は千とせをちぎり、竹はよろづ代をちぎる草木なれば、年のはじめの祝事にたて侍るべし、またしだゆづり葉は、深山にありて、露霜にもしをれぬ物なれば、しめ繩にかざりて、同じくひき侍るにや、しめ繩といふ物は、左繩によりて、繩のはしをそろへぬ物也、左は清淨なるいはれ也、端を揃へぬは、すなほなる心なり、さればあまてるおほん神の天の磐戸を出で給ひし時、しりくめ繩とてひかれたるは、今のしめ繩也、淨不淨をわかつによりて、神事の時は必ひく事に侍り、賎が家ゐにひく事も、正月の神をいはひまつる心だてなるべし、

〔古今要覽稿  時令〕
かどまつ〈門松〉 しめなは〈注連繩〉 正月の門松はふるき世より、その説さま〴〵あれど、いづれもたしかならず、ものにみえたるは、本朝無題詩、惟宗孝言の詩の自注に、近來世俗皆