【遠江国敷知郡舞坂宿文書(伊藤為之助収集文書のうち)||Maisaka-shuku (town) records, in Fuchi country, the Province of Touto-umi(ITO, Tamenosuke Collections)】
識別記号 ac1958023.05
資料記号 33W 37S(5)
標題 遠江国敷知郡舞坂宿文書(伊藤為之助収集文書のうち)||Maisaka-shuku (town) records, in Fuchi country, the Province of Touto-umi(ITO, Tamenosuke Collections)
年代 1604年~1875年
主年代 江戸前
年代注記 慶長9〜明治8年
記述レベル collection
書架延長/数量 .3m/15点
物的状態注記 14冊、2通
出所・作成 藤屋・金右衛門家(宮崎家ヵ)、あるいは伊藤為之助氏(古書店)。
履歴 伊藤為之助氏による本史料の収集が、一つの出所からおこなわれたと前提すれば、次のような推定が可能である。 本史料は、その内容と関係資料によれば、舞坂宿旧戸長家(宮崎家ヵ)に伝来したものである。同家は、いくつかの文書の差出に登場するように「藤屋」の屋号を持ち、近世以来同宿で旅籠屋を営んでいた。同家では、幕末頃から明治初年にかけて少なくとも「金右衛門」「謹一」の両名を輩出しており、「金右衛門」は舞坂宿にあって「御用達」をつとめ、「謹一」は少なくとも明治6(1873)年に戸長をつとめていた(なお謹一は金右衛門家の養子であることが判明している)。同家は、近世において代々「金右衛門」または「金左衛門」を名乗っていたが、同宿の問屋・年寄など宿役人の名に見えないことから宿役人家ではなく「小前」百姓であった。 また、明治初年に「謹一」(または謹一郎)は質渡世稼も営んでおり、おそらく「御用達」に就いていた幕末頃からの経済的な実力の伸長が推測される。 ところで近世前期の文書に、おそらく舞坂宿(当時は舞坂村)の者として「兵三郎」が登場するが、後年の「藤屋」に連続する者かどうかは不明である。
(関係地)舞坂村・舞坂宿‐静岡県舞阪町
(主題)宿役人、御用達;戸長。
(役職等)宿役人、御用達;戸長。
伝来 本史料を含む収集史料群が1958・1962年度に古書店より購入されたことから、それ以前に同古書店が旧舞坂宿で収集したものである。同古書店の収集において複数の出所からの史料を一体化するようなことがおこなわれなかったすれば、同古書店は舞坂宿旧戸長家(宮崎家ヵ)より入手した可能性が高い。その上で同家への本史料の伝来は、次のように考えられる。問屋・年寄など数家の舞坂宿役人家で宿業務の文書を集約し伝えてきたものの一部が、戸長の業務遂行のために引継がれ戸長の業務文書とあわさり、次の戸長へ引継がれないまま旧戸長家に伝存していった。その文書群の中で古書店収集時にまで残存した一部であろう。
入手源 藤屋・金右衛門家(宮崎家ヵ);伊藤為之助(古書店)。
範囲と内容 本史料は、その伝来を考慮すると、(1)舞坂村検地文書、(2)舞坂宿御用達文書、(3)舞坂宿戸長文書、の三つの小群で構成される。(1)と(3)は、藤屋金右衛門家の明治初年の当主・謹一が戸長に就任していたため存在し、(2)は近世における同家の役職にかかわる文書といえる。 (1)は、地租改正における戸長の業務上の必要から宿役人(か宿役場)の(共有)文書の中から引継ぎ、次の戸長へ引継がれず伝存したものであろう。しかし(3)の中に土地関係の文書がほとんど見られないため、実際に戸長が使用しうる当時の現用文書はほぼ引継がれたと考えられる。(1)は、舞坂村(宿)で近世初〜前期におこなわれたと思われる検地を、およそ網羅している。 (2)は、家業の旅籠屋経営により、宿における大名家やその家中の宿泊を分担するうちに、藤屋を定宿とするような特定の大名家との結び付きを深めていったためか「御用達」の役をはたすようになり、集積していった文書の一群の部分と推定できる。部分といわざるをえない理由は、量的に少なく「御用達」の活動のすべてをうかがい知ることができないためである。 (3)は、戸長という役職ゆえに管理された書類の一部であろうことを前述したが、文書にあらわれた作成としては舞坂宿とだけあり、必ずしも戸長の作成する書類と限らない。ただ、戸長の職にあったために所持しうるような公的な文書とみられるため、戸長文書とした。
評価選別等スケジュール
追加受入情報
整理方法 現状は仮整理だがラベルも貼付されているため、本整理に際して現在の配列のままとする。目録(詳細リスト)上では、文書構造をふまえ、年代順に配列する。
利用条件 虫損・破損甚大なもの以外はふつうに閲覧可能。
使用条件 写真撮影は可能。ただし虫損・破損甚大なものは撮影に制限あり。
使用言語 JAPANESE
物的特徴及び技術要件 慶長期の検地帳は虫損・破損甚大、また挟み込み文書・付箋多数につき取り扱い注意。
検索手段 カード目録およびリスト
原本の所在
利用可能な代替方式
関連資料 伊藤為之助収集文書(fonds)の記述を参照。
出版物 舞坂宿問屋家はじめ(本史料の出所と異なる)同宿内の文書を翻刻した刊行物として、舞阪町史研究会編『舞阪町史・史料編一〜十』(静岡県浜名郡舞阪町、1970年〜1979年)がある。
注記 伊藤為之助収集文書・仮番号152〜166。
収蔵名称 国文学研究資料館(歴史資料)

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