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16巻 落噺笑富林

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傍記なし

( ウ・口オ)


△△△七重八重花ハさけども山吹の
△△△△実の一ツだになきぞかなしき
此哥をきいて、なんでも夕立が降て来て、雨具を借せとい
ふものがあつたら、哥を読+といふうち、大夕立ふりき
たり、友だちがかけこミ、傘でもきるものでも、雨具をか
してくれろといふゆゑ、八百屋の亭主、白瓜と丸漬と茄子
をならべて、哥に、 丸づけやなすび白瓜ある中に△今
一ツだになきぞかなしき△友 この中に胡瓜がねへの
亭 ハイ。胡瓜ハござりませぬ(一オ)

○御加増
西の国にて百万貫御取あそばす御方、殊の外いひにくき事
を好給ひ、御家来に早口豆右衛門といふもの、御意に入ツ
て、何事も此ものなくてハならぬやう也。初春の事なりし
が、豆右衛門御前へ出、豆 たゞ今御玄関へ(一ウ上)しよ
しや山ンのしや僧正、こうやの山のおこけらこぞう、年頭
の賀儀にまかり出ましたゆへ、とるものもとりあへず、小
米のなまがミ、ここん小ごめのなまがみ、親も嘉兵衛子も
嘉兵衛、親嘉兵へ、子嘉兵へ、子かへ(二オ上)おやかへをも
傍記あり

( ウ・口オ)


△△△/七重八重(なゝへやへ)/花(はな)ハさけども/山吹(やまふき)の
△△△△/実(ミ)の一ツだになきぞかなしき
此/哥(うた)をきいて、なんでも/夕立(ゆふたち)が/降(ふつ)て/来(き)て、/雨具(あまぐ)を/借(か)せとい
ふものがあつたら、/哥(うた)を/読(よまう)+といふうち、大夕立ふりき
たり、/友(とも)だちがかけこミ、/傘(かさ)でもきるものでも、/雨具(あまぐ)をか
してくれろといふゆゑ、/八百屋(やほや)の/亭主(ていしゆ)、/白瓜(しろうり)と/丸漬(まるづけ)と/茄子(なすび)
をならべて、哥に、 丸づけやなすび白瓜ある中に△今
一ツだになきぞかなしき△友 この中に/胡瓜(きうり)がねへの
亭 ハイ。/胡瓜(かつぱ)ハござりませぬ(一オ)

○/御加増(ごかぞう)
西の/国(くに)にて百万貫御取あそばす御方、殊の/外(ほか)いひにくき事
を/好(このミ)給ひ、/御家来(ごけらい)に早口/豆(まめ)右衛門といふもの、/御意(ぎよい)に入ツ
て、何事も此ものなくてハならぬやう也。/初春(はつはる)の事なりし
が、豆右衛門/御前(ごぜん)へ出、豆 たゞ今御/玄関(けんくわん)へ(一ウ上)しよ
しや山ンのしや/僧正(そうぜう)、こうやの/山(やま)のおこけらこぞう、/年頭(ねんとう)
の/賀儀(がぎ)にまかり/出(で)ましたゆへ、とるものもとりあへず、/小=
米(こ=ごめ)のなまがミ、ここん小ごめのなまがみ、/親(おや)も/嘉兵衛(かへゑ)/子(こ)も
/嘉兵衛(かへゑ)、/親(おや)嘉兵へ、/子嘉(こか)兵へ、/子(こ)かへ(二オ上)おやかへをも