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3巻 一休関東咄

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傍記なし

ゝ、さま+おどけてくるひければ、人&一どにどつとわ
らひ給ふ、其ゆへにこそミぎのとをりにかくなりとのたま
ひけり。いかさまいはれありもやすらん、なくもやあるら
ん。いとしゆしやうなる御へんたうかな。

第二△たきゞの寺にて金のばけたる事
一休いまたわかくましますとき、山城廻見のためたち出さ
せ給ひけり。たきゞといへる所に一ケのふる寺有。寺号ハ
酬恩庵とかや申ぬ。されは此寺にたへて久しくぢうぢなけ
れば、おのづからやかんのすミかとなりて、ふるきこけハ
かべをとぢ、むぐらハのきをおほひつゝ、物すさまじきあ
りさまなり。所のものどもあつまり(四オ)て、かくまであ
れはつる事、たゞすむ者のなきゆへなり。しかるべきほう
しをまねきて、此寺にすへんとて、かれこれ六七人まてす
ゆれども、あるひハよのうちに身まかり、又ゆくゑもなく
なりゆきて、いよ+ゆきかふ人なくあれはてたり。一休
これを聞しめして、此寺をわれにわたすべし、いかさまし
れものゝすむとおぼゆるぞとてやがて出給ふ。たきゞのも
のともこれを聞て、ミぎのしだいをのこらず申あげ、さま
+せいし申けれ共、われにまかせよとばかりのたまひて、
たゞひとりすご+と、かのふる寺のまバらなるに、かす
かなるともし火をのミたよりにて、夜のふけゆくをまち給
ふ。すでに子のこくばかりとおぼしきとき、寺内しんどう
して、いなびかりすさまじき(四ウ)(五オ挿画)なかより、
としのほと二八ばかりなる女の、いかにもやうがんびれい
なるが、こつぜんとあらハれて、一休の御そばちかふあゆ
ミよる時、一休すこしもさハぎたまハず。大かたこゝろへ

傍記あり

ゝ、さま+おどけてくるひければ、人&一どにどつとわ
らひ給ふ、其ゆへにこそミぎのとをりにかくなりとのたま
ひけり。いかさまいはれありもやすらん、なくもやあるら
ん。いとしゆしやうなる御へんたうかな。

第二△たきゞの寺にて金のばけたる事
一休いまたわかくましますとき、山城廻見のためたち出さ
せ給ひけり。たきゞといへる所に一ケのふる寺有。寺号ハ
/酬恩庵(しうをんあん)とかや申ぬ。されは此寺にたへて久しくぢうぢなけ
れば、おのづからやかんのすミかとなりて、ふるきこけハ
かべをとぢ、むぐらハのきをおほひつゝ、物すさまじきあ
りさまなり。所のものどもあつまり(四オ)て、かくまであ
れはつる事、たゞすむ者のなきゆへなり。しかるべきほう
しをまねきて、此寺にすへんとて、かれこれ六七人まてす
ゆれども、あるひハよのうちに身まかり、又ゆくゑもなく
なりゆきて、いよ+ゆきかふ人なくあれはてたり。一休
これを聞しめして、此寺をわれにわたすべし、いかさまし
れものゝすむとおぼゆるぞとてやがて出給ふ。たきゞのも
のともこれを聞て、ミぎのしだいをのこらず申あげ、さま
+せいし申けれ共、われにまかせよとばかりのたまひて、
たゞひとりすご+と、かのふる寺のまバらなるに、かす
かなるともし火をのミたよりにて、夜のふけゆくをまち給
ふ。すでに子のこくばかりとおぼしきとき、寺内しんどう
して、いなびかりすさまじき(四ウ)(五オ挿画)なかより、
としのほと二八ばかりなる女の、いかにもやうがんびれい
なるが、こつぜんとあらハれて、一休の御そばちかふあゆ
ミよる時、一休すこしもさハぎたまハず。大かたこゝろへ