ゝ、さま+おどけてくるひければ、人&一どにどつとわ らひ給ふ、其ゆへにこそミぎのとをりにかくなりとのたま ひけり。いかさまいはれありもやすらん、なくもやあるら ん。いとしゆしやうなる御へんたうかな。 第二△たきゞの寺にて金のばけたる事 一休いまたわかくましますとき、山城廻見のためたち出さ せ給ひけり。たきゞといへる所に一ケのふる寺有。寺号ハ 酬恩庵とかや申ぬ。されは此寺にたへて久しくぢうぢなけ れば、おのづからやかんのすミかとなりて、ふるきこけハ かべをとぢ、むぐらハのきをおほひつゝ、物すさまじきあ りさまなり。所のものどもあつまり(四オ)て、かくまであ れはつる事、たゞすむ者のなきゆへなり。しかるべきほう しをまねきて、此寺にすへんとて、かれこれ六七人まてす ゆれども、あるひハよのうちに身まかり、又ゆくゑもなく なりゆきて、いよ+ゆきかふ人なくあれはてたり。一休 これを聞しめして、此寺をわれにわたすべし、いかさまし れものゝすむとおぼゆるぞとてやがて出給ふ。たきゞのも のともこれを聞て、ミぎのしだいをのこらず申あげ、さま +せいし申けれ共、われにまかせよとばかりのたまひて、 たゞひとりすご+と、かのふる寺のまバらなるに、かす かなるともし火をのミたよりにて、夜のふけゆくをまち給 ふ。すでに子のこくばかりとおぼしきとき、寺内しんどう して、いなびかりすさまじき(四ウ)(五オ挿画)なかより、 としのほと二八ばかりなる女の、いかにもやうがんびれい なるが、こつぜんとあらハれて、一休の御そばちかふあゆ ミよる時、一休すこしもさハぎたまハず。大かたこゝろへ
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